幾千の恵みがありますように
と願いをこめて、私の名前を母がつけてくれました。
母よ、私は今
この世のたくさんのものをいっぱいに吸い込んで生きています。
あなたが願った恵みを私は、おそらくきちんと、少しずつ受けて生きています。
これまでの人生、決してまっすぐでたいらな道ではなかったけれど、
それでも私は、この世に生きて良かったと思います。
今までたくさんの人に出会い、すれ違い、別れました。
これからも、それは繰り返されるのだと思います。
命が終わるその時まで。
母よ、
私はあなたに出会えたことを感謝しています。
今、あなたが生きていたら、
どんなことを語りあったでしょう。
静かで
乙女のようで
本と詩が好きで
道端に咲く小さな花が好きで、
静かなユーモアにあふれる女性でした
そんなあなたが
今も生きていたら
私はあなたとどんな時間を過ごしたでしょう。
ともに笑い、
泣き、
ためらい、
悲しみ、
それでもあなたは私を包んでくれたでしょう。
「また、ふられた」と涙を流す娘をいつも
苦笑いしながらも励ましつづけたあなたの大きさを今、感じずにはいられません。
母よ、
私はもう悲しくはありません。
悲しみの時間は過ぎ、
私はあなたに出会えたことに心から感謝しているのです。
あなたが亡くなってからは、いつも私のなかに、あなたが存在しているのです。
きれいな景色も、嬉しい出来事も、奇跡のような瞬間も
あなたとともに見ているのだと思っています。
大好きな人。
いつかまた、どこかで出会えますように。